ホン・イナンはなぜイ・サンに敵対したのか?
2014/02/13
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前回の記述で、恵嬪(ヘビン:혜빈)の父・洪鳳漢(ホン・ボンハン:홍봉한)と、その弟・洪麟漢(ホン・イナン:홍인한)が異なる派閥に属した理由を
「このころは性理学の理論による派閥党争よりも、利権を絡めた朋党(プンダン:붕당)が横行したため」
と、簡単に説明しました。
このあたり、ドラマ・イサンでは解説していないので、
「どうして大叔父なのにイ・サンに敵対するの?」
と、不明なまま見ている方が多いと思います。今回はもう少し深く解説します。
ドラマ内では老論(ノロン:노론)について詳しく語られていませんが、イ・サン即位前には老論は分裂状態にありました。
朝廷の多数派・僻派(ピョッパ:노론벽파)はイ・サンの父・思悼世子 (サドセジャ:사도세자)の死は当然だという強硬派で、時派(シパ:시파)は思悼世子の死に同情的な穏健的な派閥です。
厳密にいうとこの2つは老論だけではなく、少論(ソロン:소론)も南人(ナミン:남인)も混ざった超党派です。利害関係や政治関係を天秤にかけ付和雷同している状況を見ても、より近代的な派閥闘争と言えます。
イ・サンの祖父・洪鳳漢(ホン・ボンハン)、南人の領袖・蔡済恭(チェ・ジェゴン:채제공)、のちに勢道政治を行う洪国栄(ホン・グギョン:홍국영)など、時派(シパ:시파)に属する人たちの本来の派閥が異なっていることからもよくわかると思います。
思悼世子の死以前は分裂していたなかったため、兄弟は同じ老論に属していました。
その後、僻派(ピョッパ)に所属したのは一族の中で洪麟漢(ホン・イナン)だけです。
考えられる理由は、
- 第10代燕山君(ヨンサングン)の例もあるように、イ・サンが即位後に老論に対して大粛清を行う可能性が高いため、廃世孫にしたかった
- 彼の個人的な過激な性格
- 僻派(ピョッパ)のほうが有力者が多いため日和見したか、そちらの交友関係のほうが蜜だった
等が考えられます。
ひょっとすると、腹違いの兄・洪鳳漢(ホン・ボンハン)とは、もともと反目していたのかも知れません。
何れにしてもこの時代にはソンビとしての崇高な理想の追求は影を潜めていました。
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